建築の要「型枠」とは?その役割・種類・現場での実際をわかりやすく解説!  

建物が地上に姿を現す前、その「かたち」を最初に決めるのが“型枠”という工程です。日常ではあまり耳にしない言葉ですが、ビルや学校、病院といった建物の骨組みを形づくる重要な仕事です。設計図の通りに建物をつくるには、コンクリートを流し込む「枠」が必要になります。その枠を組み立て、寸分の狂いもなく設置することで、はじめて安全で美しい建物が完成します。


この型枠づくりを専門に担っているのが、千葉県四街道市の「株式会社中舘工業」です。普段は目に見えない部分で、建物の精度や品質を左右する役割を果たしています。建築の現場ではなくてはならない存在ですが、まだまだ世の中では知られていません。この記事では、「型枠とはそもそも何なのか?」という基本から、実際の現場でどのように扱われているのかまでを、ていねいに紐解いていきます。




型枠とは何か?建築現場の「土台」を支える存在

型枠とは、コンクリートを打ち込む際にその形を保つための「枠」のことです。コンクリートは液状のため、そのままでは形になりません。流し込んでから固まるまでの間、正確な形を保つために、木や鉄などでつくられた型枠が必要になります。建築の最終的な仕上がりは、この枠の精度にかかっていると言っても過言ではありません。


型枠は「仮設工事」のひとつに分類され、完成後は解体される役割です。しかし、その重要性は非常に高く、たとえば型枠のわずかなズレがあれば、建物全体の水平・垂直が狂い、安全性にも直結してしまいます。設計通りに建てるためには、ミリ単位の調整を求められる、非常に繊細な工程なのです。


また、型枠工事は建築工程のなかでも序盤に位置づけられるため、「後工程を支える起点」としての役割も担っています。コンクリートが固まってからでは直せないため、一発勝負の厳しさもあります。そこに信頼される技術と、職人の経験が求められる理由があります。


建築の完成図をかたちづくる——その第一歩を担うのが型枠工事なのです。外からは見えにくい工程ですが、建物の「見た目」と「中身」その両方に大きく影響を与える、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。




型枠の種類と素材──目的に応じて変わる「枠」のかたち

型枠にはいくつかの種類がありますが、現場ごとの目的や構造に合わせて最適な素材・構造が選ばれます。主に使われるのは木製型枠と鋼製型枠の二種類です。木製型枠は加工のしやすさが特徴で、細かな調整や複雑な形状にも対応できるため、建築現場ではもっとも一般的です。一方で、繰り返し使用には向かず、コストや廃材の問題もあるため、用途や現場の状況によっては慎重に選定されます。


鋼製型枠は、鉄やアルミでできた枠材で、耐久性と再利用性が高く、効率的な作業が求められる現場で活躍します。特に、大規模な建設プロジェクトや、同じ形状の構造物を繰り返し施工するような場面では、経済性の面でも優位性があります。ただし、重量があるため施工には機械の補助が必要であり、扱いにも専門的な知識が求められます。


さらに、最近では「樹脂型枠」や「再利用型型枠」といった新素材も登場しています。軽量で持ち運びがしやすく、環境への配慮からも注目されています。ただ、素材によって施工時の特性が異なるため、現場での経験と判断が欠かせません。


型枠の選定は、見た目や作業効率だけでなく、コンクリートの仕上がりや構造強度にも関わってきます。施工精度は、使う材料とその扱い方によって左右されるため、工事の目的に応じた最適な型枠を選ぶことが、結果として建物全体の品質に直結します。




現場の流れを知る──型枠工事はこうして進む

型枠工事は、設計図をもとにした「割付(わりつけ)」という工程から始まります。建物全体の寸法や構造を確認し、どこにどの型枠を配置するかを正確に割り出す作業です。ここでの計算や判断が、以降の全工程に影響を及ぼします。たとえば数ミリのずれがあれば、最終的な仕上がりにもズレが生じるため、非常に緻密な作業が求められます。


割付が終わると、工場または現場で型枠の加工が行われます。木材や鋼材を寸法どおりにカットし、必要な部品を組み立てる準備を進めます。ここでは、材料の質や精度も重要になります。わずかな反りや歪みが、コンクリート打設後の強度や見た目に悪影響を及ぼすからです。


次に行われるのが現場での「建て込み」。型枠を実際に組み立て、鉄筋と組み合わせて構造を形成します。このとき、水平・垂直の確認を何度も行い、補強金具や支柱などを用いてしっかりと固定します。建物の外枠が立ち上がる瞬間であり、まさに“建築が始まる”実感が得られる場面です。


コンクリートを打設し、十分に硬化した後には「型枠解体」が行われます。この工程も決して簡単ではありません。強度を確保しながら、コンクリートを傷つけないよう丁寧に外していく必要があります。取り外した型枠は再利用の可否を判断され、適切に処理されていきます。


一連の流れのすべてにおいて、正確さと丁寧さが求められ、どの段階にも職人の技と経験が息づいています。表舞台には立たなくとも、建築を支える「技術の柱」として、型枠工事は常に現場の中心にあります。



精度と責任を背負う仕事──型枠工が求められる理由

建物の精度を左右する型枠工事は、ただの力仕事ではありません。図面を読み解く理解力、ミリ単位で調整する感覚、現場で状況を見極める判断力。そのすべてが求められる、非常に専門性の高い仕事です。単に道具を扱うだけでなく、「どこに」「どのように」力が加わるのかを常に意識しながら作業を進める必要があります。


現場では、ときに天候や資材の状況によって判断を迫られることもあります。経験と知識がものを言うのは、そうした「予定外」への対応が求められる瞬間にこそ表れます。そして、型枠工の技術が評価されるのは、むしろ完成後。コンクリートの仕上がりが美しく、寸法に一切の狂いがない──そんな結果が信頼を生むのです。


また、型枠工事は決して個人作業ではありません。複数人が役割を分担し、息を合わせながら作業する場面も多くあります。チームでひとつのかたちを作り上げる充実感は、何物にも代えがたいものがあります。


建築という大きな仕事のなかで、型枠工はまだまだ知られていない存在かもしれません。しかしその分、腕のある職人には確かな評価が待っています。「ものづくり」に誇りを持ち、かたちに残る仕事をしたい方にとって、この仕事はきっと応えてくれるはずです。


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「見えない部分」をつくるという誇り

建物が完成すると、型枠は解体され、その姿は跡形もなく消えてしまいます。けれど、その芯の部分には、確かに型枠工の手仕事が息づいています。目立つことはなくとも、形として残る精度の高さや、美しさ。そのすべては、裏方で支える職人の責任感と技術の結晶です。


日々の現場には、派手さよりも着実さ、速さよりも正確さが求められます。だからこそ、地道な努力を惜しまない人、納得のいく仕事を最後まで貫ける人にこそ、この仕事は向いています。静かに、しかし確かにものづくりの現場を支えたい。そんな気持ちがある人には、型枠という仕事は大きなやりがいとなって返ってきます。


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